国防とは、国外に存在する敵が行う自国への侵略への対抗手段として、主に軍事的手段を行使するための国家活動である。具体的には、侵略軍を排除するための防衛活動、また同盟国と連携した防衛活動を指す。主権国家には
自衛権が認められているために、国防のために
軍事力を造成してこれを管理し、侵略を受けた場合は武力によってこれを排除することは
国際法的にも認められた権利であり、なおかつ国家が国民の生命と財産を保全するためにも必要である。歴史的に国防は市民の重大な責務であり、また
兵役は市民の誇りともされ、軍隊は独立国家の象徴とされる。現代では国家総力戦によって、国防の内容が軍事的な分野に留まらず経済的、社会的、思想的な分野にまで拡大しており、また
大量破壊兵器の出現などによって、
軍縮や
軍備管理などの軍事力の抑制や平和的な紛争解決の必要が論じられるようになったが、国際政治上の問題もあるために一部の進展は見られるものの、従来の国防の意義は未だに広く認められている。
ただし侵略の定義が国際的に合意されたわけではなく、国際連合で間接侵略の定義について議論された際にも、各国の合意は得られなかった。侵略の定義については一般的に、
1933年7月に
ロンドンで締結され、
ソ連、
トルコ、
ルーマニア、
ポーランド、
ペルシアなどの8ヶ国が締約した「侵略の定義に関する条約」がある。これによると、外国に対する
宣戦布告、宣戦布告がない場合でも外国領域への侵入、領域、船舶、航空機への攻撃、沿岸や港湾の
海上封鎖、各国における外国の武装部隊に対する支援などが、侵略国の条件として列挙されている。
侵略活動は物理的な強制力を伴う手段であり、これに対抗できるのは、同様に物理的な抵抗力を伴う手段である
防衛活動である。防衛活動は分野によって
軍事的な防衛活動、
政治的・外交的な防衛活動、
経済的な防衛活動に大別することができる。軍事的な防衛活動とは軍備を
動員し、軍事作戦を展開して
攻撃・
防御・
後退などの戦闘行動によって敵を撃破・撃滅するための、基本的な防衛活動である。政治的・外交的な防衛活動とは政略により国際政治戦または国内政治戦を展開する防衛活動である。経済的な防衛活動とは、経済力を維持増進することによって国内の経済的・社会的な情勢を安定化させて国民所得や生産力を確保し、敵による経済力の破壊や社会的な団結の破壊に抵抗し、軍事的・政治的な防衛活動に寄与するための防衛活動である。
侵略の対象となる
国家には、
主権・
国家管轄権がある。主権とは国際法的には国家の独立した最高権力であり、上位から何の支配も受けずに対内的・対外的に支配権を行使することができる権力であり、現代の国際法では主権は相対化された上で、国家が持つ権限の集合体を国家管轄権と呼ぶ。これは自衛権、
生存権、外交権、立法権、司法権、行政権、課税権などの側面を持っており、全ての国家が
平等に保有することが認められている。この体制は近世の
ウェストファリア体制によって確立されたものであるが、武力不行使の原則が述べられている現代の
国連憲章においても国家主権は尊重されており、主権国家には自衛権がある。自衛権は緊急に不正な攻撃を受けた場合に武力を運用する権利である。この自衛権を行使するために国家は
軍隊を編制してこれを維持管理することができる。国家は軍事力をもって侵略を防ぐ正当な権利を持っており、
戦時国際法の制約に沿う限り武力行使は認められるものである。(
自衛権、
戦時国際法を参照されたい)